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準備が決め手!~事業承継問題の解決のヒント~

「事業承継問題」は、先延ばしにしたところで解決の糸口が見えてくるという問題ではありません。むしろ後回しにすればするほどリスクが増加するといってよいでしょう。ひとくちに事業承継といっても、100社の企業があれば100社分の異なる事情があり、そのどれもが一筋縄では解決しそうにない課題を抱えています。そこで今回は、事業承継問題の現状とその対策についてのヒントになるお話をしていきたいと思います。

【広がる事業承継の問題】

2016年12月の中小企業庁の発表(「事業承継ガイドライン」について)によると、リーマンショック以後、急増していた中小企業の倒産件数は減少傾向にある一方で、休業、廃業、解散といった件数は3万件弱と、高い水準に上昇してきているとのことです。これは、市場の景況といった外部の環境は改善しつつあるが、他のなんらかの理由で事業の継続を断念するケースが増えてきているといえます。同庁によると、他のなんらかの理由は「後継者問題」の占める割合が多いと結論づけています(60歳以上の中小企業経営者の廃業の理由の28.6%もが「後継者問題」によるもの)。特に経営者の手腕が企業経営に直結する中小企業において「事業承継」は、とても大きな経営課題のひとつといえるでしょう。

【事業承継は後継者選定のみにあらず】

事業承継問題は、後継者を決めればいいという問題だけではありません。事業を引き継ぐための手続きやその準備をも当然含みます。具体的には、株券の継承、経営権の継承、債務の保証の継承など、さまざまな項目があげられます。

【事業承継の実態】

2015年末の中小企業庁の事業承継先に関する調査(「中小企業の資金調達に関する調査」)をみてみますと、以前は親族に対する承継が全体の92.7%であったのに対して、調査時点直近の5年の間では親族への承継はわずか34.3%へと減少しています。それに替わって親族以外(従業員や社外の第三者など)への承継が65.7%と、その構成が逆転しました。親族への承継が困難な場合の代替策として、親族以外への承継が増えているのであれば、特に問題視することではないのでしょうが、それでも中小企業の廃業理由の30%近くが後継者問題であることを考えると、親族外承継のみで後継者問題が解決の方向に向かっているとは考えづらいものです。やはり「後継者問題」が事業承継に大きな影を及ぼしていると考えるべきです。
なお、親族以外への承継の場合、一番の課題となるのが、関係者の理解を得られているかどうかということだと考えられます。万一、関係者が納得していない場合には、その説得に相当の時間を要すると見込まれ、計画が頓挫してしまう可能性も少なくありません。

【最善の課題解決策は、1日でも早く着手すること】

事業承継における色々な課題の解決にあたって共通していえる重要なことは、1日でも早く事業承継に着手すべきということでしょう。現経営者が、例え今も第一線で頑張っていらっしゃるとしても、事業承継は避けては通れない問題です。しかも当然のことながら、経営者の年齢は年々上がっていくので、できるだけ早く事業承継問題に着手することがリスク回避にもつながります。事業承継は後継者の選定や引き継ぎ、関係者の合意の取得など、いずれも時間がかかるものばかりです。問題が顕在化してから着手するでは、到底間に合わないというのが現実です。
また、親族や社内の人間への承継のみにこだわるのではなく、M&Aも含め、幅広い選択肢を広く持っておくことにこしたことはありません。それぞれの選択肢のメリット・デメリットを、客観的に見極めて判断することが大切です。
M&Aにはスピードや客観的な判断が求められること、さらに手続きがやや煩雑であったり、専門的な知識が必要になることを考慮すると、日頃お世話になっている税理士や、事業承継のノウハウを持ち、さまざまな事例を経験してきているM&Aアドバイザーの活用を検討してみるのもよいでしょう。
早々に着手し、計画的に着実に承継を進めていく。これが、事業承継問題解決に不可欠なことといえるのです。