M&A BASICS

M&Aとは

メリット・デメリット

まずは知りたい。M&Aのメリットとデメリット

近年、中小企業のM&A(スモールM&A)は増加の一途を辿っています。M&Aを経験した方々は、その後、どのような感想をお持ちなのでしょうか? 今回は売り手と買い手の双方から伺ったM&A体験談や生の声を参考にして、M&Aをして「よかったこと」(=メリット)と「後悔したこと」(=デメリット)をまとめてお伝えしたいと思います。

【売り手のメリット】

① 事業承継問題の解決
近年、中小企業の事業承継問題が表面化してきています。中小企業の事業承継問題とは、跡継ぎが不在で、廃業せざるを得ないという問題を指します。『自分はもう高齢だが子どもは自分の道を歩んでしまっている。』、『子どもに個人保証や債務を引き継がせるのはかわいそう。』、『役員や従業員に社長を引き継いでくれる人材がいない。』等々。一説では2020年頃には経営者の大量引退期が到来するという話しも挙がっています。そうなると、当該経営者のみならず社会的にも非常に深刻な問題となってくるのです。
M&Aにより『他企業に事業を引き継いでもらえ、廃業という決断をせず済んだ。』という声は、事業承継問題を抜本的に解決できるメリットとして挙げられるでしょう。

② 従業員の生活を守れる
会社を清算してしまうと、直ちに従業員たちは路頭に迷うことになってしまいかねません。他企業に事業を引き継いでもらうことで、従業員の雇用を守ることも可能になります。M&Aにより『従業員の生活を守ることができて肩の荷がおりた。』という声は、M&Aの大きなメリットとして挙げられます。

③ 不採算事業からの撤退
『新しく事業を始めてみたもののなかなか軌道にのらない。』、『いまの事業が熾烈な過当競争に巻き込まれ、先行きに不安を感じる。』といった場合、M&Aという手法で、その不採算部門や不安視される事業だけを売却することができます。M&Aの結果『これでようやく本業に専念することができるようになった。』、『また別の事業にチャレンジできる。』といった声も、M&Aのメリットに挙げることができるでしょう。

④ ハッピー・リタイアの実現
経営者は、会社を売却することで事業の現金化を行うことができます。得た利益で趣味に専念したり、セカンドライフを満喫するといったハッピー・リタイアを実現できるのです。『退職金がわりにキャッシュを手にすることができて、精神的に余裕が生まれた。』という声は、M&Aのメリットのひとつです。

【売り手のデメリット】

会社や事業を売却して『失敗した。』、『後悔している。』といった感想をお聞きすることは、寡聞にしてあまりありません。売り手にとってM&Aのデメリットは、ほぼないといって差し支えないようです。なかにはM&Aをまえに『社員の処遇が悪化しないか?』、『社員がリストラされたりしないだろうか?』と心配される経営者の方もいらっしゃいますが、買い手の目的は「事業の譲受」なのですから、少なくとも今までどおりの売上、今までどおりの利益を確保することを望んでいます。それ故に社員の退職や、仕入先や顧客の離反を避けるためにも、性急な体制の変更を否応なしに進める(ハード・ランディング)ということはまずありえないということが、ご理解いただけるでしょう。
 強いていうなら、会社を売っておしまいではなく、その会社が成長発展していくために、売り手の会社の買収後の経営統合の各種作業(ポスト・マージャー・インテグレーション。略して「PMI」といいます)に協力を行う必要があるということが、デメリットといえばデメリットかもしれません。

【買い手のメリット】

① 規模やシェアの拡大、既存事業の強化
規模やシェアの拡大を目的に同業種の譲受先を探してらっしゃる買い手は多くいらっしゃいます。買い手にとって、同業の売上やその取引先を取り込めるM&Aは大変魅力的な手段といえます。また、規模やシェアの拡大だけでなく、『自社になかった技術を取り込めたことで、より事業を強化することができた。』という声も、買い手のメリットを如実に表しているといえます。

② 新規事業の立ち上げ
新規事業にはリスクが伴うものですが、既にその分野で実績を上げている企業を買収できれば、そのリスクは大幅に軽減できます。『新規事業で最初から売上が見込めるのは、M&Aならではの利点だね。』という声は、そのまま買い手のメリットとして挙げられるでしょう。

【買い手のデメリット】

① アナジーの発生
当初の意図とは逆に、買収による相乗効果(シナジー)は得られず、むしろ経営成果にマイナス効果が発生する事態が生じる可能性があります。これはシナジーとは逆のアナジーと呼ばれるものです。
『本社と買収した子会社との間に壁ができてしまって、本業に悪影響がでてしまった。』や『子会社の支援に予想以上のコストがかかってしまい、経営資源が分散してしまった。』という声が代表的なものでしょう。先にも触れましたが、買収後の経営統合の各種作業ことを「PMI」といいます。この「PMI」で、企業文化の違いやこれまでの売上や利益の維持をうまくマネージメントしていくことが重要でしょう。