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M&Aノウハウ特集

病院も売れる?~病院・クリニックのM&A最新事情~

2019年1月9日に発表された帝国データバンクの調査資料(『特別企画:医療機関の倒産動向調査(2018年)』)によると、医療機関の倒産が前年比で60%増になっているそうです。多くの病院やクリニックで、診療報酬改定や消費税増税などの影響でキャッシュフローが悪化していることの証左ともいえる数字です。また、老朽化してきている施設の建替えや新しい医療機器の導入といった投資コストの増大が重なり、経営が逼迫してきているのではという推測は当たらずとも遠からずといったところでしょう。

【病院・クリニックのM&Aの現状】

医療法人は大きく社団医療法人、財団医療法人に分かれており、さらにはその開設主体が出資持分のない社会医療法人であったり、地方自治体、あるいは個人であったりと類型や多岐にわたる開設主体の多さが、M&Aの手続きを複雑にしており、大手の医療法人が企図する広域展開や事業の拡大も十分に進んでいるとは言えない状況です。
しかしながら、行政も地域的な再編を進めるべく、制度の緩和・創設を進めている最中です。 例えば、2017年4月の改正医療法の施行により「地域医療連携推進法人制度」が創設されました。この制度がうまく活用されれば、複数の医療法人等が横の連携を強化し協調を進めることが可能となり、地域における良質かつ適切な医療体制が確保されるものと期待されています。
また小規模な無床診療所においては、子供が医師であるケースが多いながらも「勤務医の方が向いている」、「自分の研究に専念したい」などといった子供の意志による理由から親族承継が思うようにいかないという声を多く耳にします。所謂、番頭承継も「出資持分の買取資金が手当てできない」等の理由から、停滞気味であるようです。病院の廃業や清算は、地域住民への影響が大きく、資産売却や税務面でのデメリットも大きいため、病院こそ事業承継対策をしっかり準備しておく必要があるといえるでしょう。

【病院・クリニックのM&Aのメリット】

病院やクリニックのM&Aには、売り手・買い手ともに多くのメリットが見込まれます。売り手にとっては「地域における医療を存続させ、かつ従業員の雇用を守ることができる」というのが、なによりのメリットでしょう。買い手にとっても「同じ医療圏内に機能集約することができる」、「需要が高いエリアに新規進出でき、医師や看護士の採用でも有利に働く」、相手方当事者の規模によっては「病院立地と認可ベッド数が獲得でき、異業種から参入しても、本業とシナジー(相乗効果)が図れる」といったメリットが考えられます。


病院・クリニックのM&Aにおいて、売り手は「地域を支えてきた」という自負を持っていたり、「患者やその家族に対する想い」といったものを非常に大切にしている方が大半です。買い手はその売り手の想いを理解し十分に汲むことが重要です。そのメンタリティーといった部分が病院・クリニックのM&Aの成功の秘訣といえるでしょう。